研究について

「ΔΣ変調 昇圧型DC-DCコンバータの特性解析」


研究の目的と概要

  この研究は、「高効率」「低ノイズ」かつ「シンプルで高機能」な電力変換回路の解析を
  行うことを目的としています。 そして、「ΔΣ変調回路」とゆう、主にオーディオ用の
  1ビットD/A・A/Dコンバータに使われる回路を、スイッチング方式の半導体電力変換回路の
  制御回路に応用しようとゆう試みの一つです。

  ちなみにこの研究では、スイッチング方式の半導体電力変換回路として、チョッパ制御式
  昇圧型DC-DCコンバータ(昇圧チョッパ)を選びました。すでにインバータなどでは検証がされているため。

DC-DCコンバータとは??

  DC-DCコンバータとは、直流電力の電圧変換を行う回路の総称なのですが、代表的なものと
  しては、スイッチングによって直接電圧を変換する「チョッパ」と呼ばれる回路があります。

  チョッパには、電源電圧よりも低い電圧に変換する「降圧型」の回路と、電源電圧よりも
  高い電圧に変換する「昇圧型」の回路、どちらにもイケる「昇降圧型」の3つがあります。
  どれも、インダクタやキャパシタに蓄積した電磁的あるいは静電的なエネルギーを負荷へ
  放出するという一連の動作によって電圧変換の作用が実現されているんですな。

降圧型 昇圧型

  このような動作原理からも理解できるように、出力電圧は入力電圧と、
  スイッチのON時間とOFF時間の比(「デューティー」とゆう)で決まります。
  なわけで、スイッチングの方法をさまざまなものにすることによって、出力電圧を
  さまざまに制御することができるわけですな。

  そしてここでは、このスイッチングのパターンを発生する回路としてΔΣ変調回路を利用
  しようとゆうわけです。

ΔΣ変調回路とは??

  ΔΣ変調回路とは、近年 CDやらDVDなどのディジタルオーディオの分野で主流となって
  いる「1ビットD/A・A/Dコンバータ」にバシバシ用いられてる回路です。

  代表的な1ビットD/A・A/Dコンバータには・・・

  などがあるそうですが、これらはすべて「ΔΣ変調回路」のもつ「ノイズシェーピング
  特性」、つまり量子化雑音の分布が従来のものとはまったく異なったものとなるとゆう特性を
  利用しているのですな。

ΔΣ変調回路のおはなし

1次ΔΣ変調回路 その等価回路

  じゃあ次に、その「ΔΣ変調回路」の働きについての話をしましょう。
  ここではとりあえず、ΔΣ変調の中で最もシンプルな「1次ΔΣ変調回路」を例に挙げて
  解説してみましょー。

  この回路の中の「量子化器」とは、0.5をしきい値としてデータを0と1に2値化するもの(つまり
  コンパレータ)です。 あと、「Z-1」は1サンプル時間ぶんだけ信号を遅延させる働きをして
  おります。

  つまりこの回路は、右側のような画期的な(?)等価回路で表すことができるようです。
  (なんとまぁ (笑)) この等価回路から分かるのは、この回路が量子化誤差の差分値を
  加算して出力
している、つまり雑音成分にだけ微分演算をしていることがわかります。

  この特性によって、通常は一様に分布している量子化
  ノイズが、信号帯域の含まれる低域では減少、不要成分が
  多い高域では増加するような分布に変化するんですわ。
  (右図参照。)

  そしてこれをフィルタに通したら信号帯域内の
  ダイナミックレンジ(最小値と最大値の差)が増加する、
  とまあこういったわけです。 なんかすごい。

  とまあ、これが「ΔΣ変調回路」の持つ大きな利点「ノイズシェーピング」なわけですが、
  これをDC-DCコンバータのスイッチングパルスパターン発生回路へ応用するには、一つ
  大きな問題点があります。

問題点とその解決

  DC-DCコンバータの場合、基準入力はもちろん直流。
  ところがどっこい、これが大問題っ!!なんですわ。

  ΔΣ変調回路って、基準入力に変動がないと出力のパルス幅が変化してくれないんですな。
  ってなもんで、基準入力信号が直流(=変動が無い状態)やと、出力波形が規則的になって
  まうんですよ。

  つまり、不要な帯域成分(雑音の部分)が従来のPWM方式と同じように、特定の周波数成分で
  大きなピークを持ってしまうっていう感じ。 とゆうことは、ΔΣの持ってる「スペクトラム
  拡散」の特徴が発揮できず、これじゃあぜんぜんメリットありません。

  そこで。

  ようするに基準入力に変動分を加えてやればいいのだから、入力のところに変動を生じさせる
  「ディザ信号」とゆう信号を与えてやります。 この信号は別に特別なものでなくても、
  とりあえず変動を与えればいいんだから、ごく普通のサイン波で問題ねいそうです。
  (ただしサンプリング周波数より十分低い周波数のものじゃないとダメらしい。)

  とまあ、そうすると・・・

入力に変動が現れるっ!
↓ おぉっ!
出力パターンは規則的じゃなくなる
↓ それでっ!
スペクトラム拡散になるっ!!
やったっ!

  とゆう具合に、ΔΣ変調回路の特性によって出力パターンの不要帯域成分が
  きちんとスペクトラム拡散されるのです。
  これでこの問題は解決できたわけですが、このままの回路では入力に加えた
  ディザ信号はそのまま出力へと現れてしまいますねー。 さあどうしよう。

  という心配はご無用。 ちゃあんと対策は考えられているもんです。(笑)
  回路を2段構成にして、前段で加算したディザ信号を後段で減算するような構成の
  回路が提案されているのでこれを使いませう。

以下随時更新予定・・・ < ぼちぼちやろかな?

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